脳卒中後遺症者のADLの評価、そしてADL障害へのアプローチについてはその自立度が優先されるため、麻痺側上肢を用いない、すなわち非麻痺側上肢のみを用いたアプローチが優先的に行われています。
また、一般的にADL練習はやり方を分析され、そしてその手順の失敗を修正しながら自立を目指す方法で行われていて、決められた手順を繰り返すという課題にだけ焦点をあてた練習が常識的とされています。しかし脳卒中後遺症者のADL再獲得が困難なのは姿勢制御の問題と感覚・知覚障害の問題が理由となっている場合も多く、非麻痺側の知覚的操作能力も含め、一人一人の対象者に合ったオーダーメイドの評価と介入が重要となります。
ここではニューロリハビリテーションとADLについて考え、姿勢調整の方法、日常生活動作それぞれの分析と介入の方法について取り上げています。
麻痺した手足から情報が入って来ることは脳の回復にとってたいへん重要です。麻痺した手足をADLに参加させる、参加できないならその理由を考え、PT,OT,STがそれぞれの立場から取り組んでいかなければなりません。ここではそれをどのように考えどのように取り組むかについて、臨床家ならではの視点から紹介しています。
■実技・解説
伊藤 克浩
山梨リハビリテーション病院リハビリテーション部 副部長 理学療法士
(公社)日本理学療法士協会神経系専門理学療法士
(社)日本ボバース研究会会長、IBITA/JBITA 成人中枢神経疾患上級講習会インストラクター