もしかしてマルトリートメント?~子どもを追い込む《気になる保護者》に気づいたら~
不安定な心を抱える子どもたちが、さまざまな問題を持ちこんでくる保健室。その対応の中で、「もしかしたら保護者に問題があるのでは…?」と気になることはないでしょうか?
WHOが提唱する定義にチャイルド・マルトリートメントがあります。マルトリートメントとは「不適切な養育」のこと。身体・精神・性虐待、ネグレクトなどだけではなく、親の気分で叱りつけたり、子どもの前で夫婦げんかをしたりと、子どもに悪い影響を与える不適切な行為をすべて含んでいます。
小児精神科医で、福井大学子どものこころの発達研究センター教授の友田明美先生 は、「マルトリートメントが原因で、意欲がない、達成感が湧かない、人間関係をうまく築けないなどの問題が子どもたちに起こることがある。またそれだけでなく将来にわたって、うつ病やPTSD、不安障害などの精神症状が現れる可能性もある」と提唱されています。
マルトリートメントは、保護者本人は何気なく、知らぬ間に行っていることもあります。保護者の言動に気になる点があるとき、養護教諭としてできることは何でしょう? 友田先生にはマルトリートメントを疑うチェックリストとともに、周囲と連携してできることなど、対応のポイントを教えていただきます。
■講師:友田 明美(福井大学 子どものこころの発達研究センター発達支援研究部門 教授)