「仮定法」は、高校生が最もつまずきやすい文法項目の一つです。
Whenを用いた文が理解できていれば、文構造自体は同じなのでそれほど難しくはないはずですが、実際に指導してみますと、仮定法でつまずく生徒が多いのが現実です。この原因を探った結果、仮定法が難しいと生徒が感じるのは、if節ではなく、主節の助動詞の使い方にあることがわかりました。まず、どの助動詞を使うべきか、また、どうして過去形でなくてはならないのか、そのあたりの理解が不十分なために、仮定法全体がわからなくなってしまうようです。
助動詞の過去形が、実際に過去の状態や動作を表すことはほとんどありません。過去形であっても、たいていは現在のことを表していることに着目しました。
I would say so.という文が、「私はそう言うつもりだった」という意味になることはありません。何らかの条件のもとで、「私はそう言う」という、現在のことを表しています。つまり助動詞の過去形そのものに、何かを仮定する意味が含まれていることを最初に理解することが、仮定法全体を把握するための近道です。I would say so.という例では、例えば「私が君だったら」 とか、「私がその状況にいるとしたら」というような隠れた仮定の意味を感じることが大切です。
この作品では、if節に触れる前に、助動詞の過去形を用いた文について、隠れた「もし」の意味を感じることから導入する方法で仮定法の理解を促します。仮定法には、ifを用いたもの以外にも様々な表現がありますが、基本的な仮定法の位置づけを理解させることを第一義とした授業展開にしました。