文法を英語で教えるにはどうしたら良いか…?
本作は、「受動態」をテーマに、同じ内容を英語で授業した場合と日本語でした場合の2パターンを収録しました。
英語で文法を扱うときのポイントや視点の持ち方をご紹介します。
例えば、主語+be動詞+過去分詞+byというようなことは概ね理解できたところで、なぜbyがあるのか、とかなぜbe動詞が必要なのかという、生徒にとってはやっかいだと感じる部分を英語で説明することによって、生徒が文法に対してそうだったのか!という発見をさせることが狙いとなっています。
日本語で指導するほうが効果的だと思っている方の考えをすっかり変える授業展開にもご注目ください。
★前置詞の理解は日本語の助詞との類似性と意味領域の差に気がつくこと
★日本語の助詞との違いを楽しみながら前置詞のイメージを捉える授業
前置詞の指導のコツは 「どうやってイメージを広げさせるか」 に尽きます。
イメージを図やビジュアル、言葉などで表現する方法がありますが、今回は漢字1文字で表わしています。漢字にこだわる必要はありませんが、何か方針を決めて新しい前置詞に触れるたびにイメージを示す習慣が大事になってきます。そして、繰り返しリマインドすることで前置詞が定着しますので、ぜひ内田先生のアイディアを前置詞指導にご活用ください!
なぜ前置詞が難しいと感じるのか、体験的に示しながら、どういった点に気をつけて、どこを意識しながら勉強するのかを提示した授業を展開しています。
悩みの種、5文型の指導をこれで克服!
文法の授業の中でも高校1年生のはじめに出て来ることが多い「5文型の指導」というのは、なかなか難しいと言われています。5文型の指導で一番意識しなければならないことは、「なぜ、5文型を指導する必要があるのか」ということです。
一般的な5文型の指導では、「次の文型が、第1?第5のどの文型にあたるのか。あるいは、SVOOまたはSVOCに当たる単語はどれか。」といった内容のものが多いです。しかし、この方法では、生徒には文型を理解するメリットが見えません。
今回の授業では、なぜ文型を理解することが重要なのか。文型を理解することでどのようなメリットがあるのかを体感できる活動を提示しながら指導を進めています。日本人だからこそ5文型を勉強する必要があるのだと納得させ、5文型が解ることで、積極的な英文理解(=攻めの5文型)が可能になることを示しています。
今までは英文を理解する場合、単語を日本語に置き換え、その訳語を並び替えて文全体の和訳を作っていくという受け身的な英文読解をしてきましたが、5文型を理解することにより、自ら情報を探しながら英文を理解していくことが可能になります。また、5文型の理解は、アウトプットにも効果を与えます。英文を組み立てる際に、次にどういう情報が必要かがはっきりわかるようになるからです。
文型の指導で最初に必要なのは、まず、「直接目的語」と「間接目的語」の関係ですが、ここでは矢印を使って表しています。そして次に大切な補語と目的語の関係は=で示しています。この感覚を繰り返し感じられるように指導している点にご注目ください。変則的なものを後に足していくことによって生徒の負担は軽減され、学ぶ意義を感じながら5文型に慣れ親しんでいくことができます。
■授業・解説/内田 浩樹(国際教養大学大学院 英語教育実践領域 教授)
■協力/英語教育・達人セミナー
■授業クラス/札幌日本大学中学校3年生
「仮定法」は、高校生が最もつまずきやすい文法項目の一つです。
Whenを用いた文が理解できていれば、文構造自体は同じなのでそれほど難しくはないはずですが、実際に指導してみますと、仮定法でつまずく生徒が多いのが現実です。この原因を探った結果、仮定法が難しいと生徒が感じるのは、if節ではなく、主節の助動詞の使い方にあることがわかりました。まず、どの助動詞を使うべきか、また、どうして過去形でなくてはならないのか、そのあたりの理解が不十分なために、仮定法全体がわからなくなってしまうようです。
助動詞の過去形が、実際に過去の状態や動作を表すことはほとんどありません。過去形であっても、たいていは現在のことを表していることに着目しました。
I would say so.という文が、「私はそう言うつもりだった」という意味になることはありません。何らかの条件のもとで、「私はそう言う」という、現在のことを表しています。つまり助動詞の過去形そのものに、何かを仮定する意味が含まれていることを最初に理解することが、仮定法全体を把握するための近道です。I would say so.という例では、例えば「私が君だったら」 とか、「私がその状況にいるとしたら」というような隠れた仮定の意味を感じることが大切です。
この作品では、if節に触れる前に、助動詞の過去形を用いた文について、隠れた「もし」の意味を感じることから導入する方法で仮定法の理解を促します。仮定法には、ifを用いたもの以外にも様々な表現がありますが、基本的な仮定法の位置づけを理解させることを第一義とした授業展開にしました。
『現在完了』は、中学校または高校でも最もつまずきやすい文法項目の一つです。
文法でみると『have/has+過去分詞』という、とてもシンプルな形ですが、一番の問題点は「経験」「継続」「完了」と3つの意味合いがあって、それらを使い分けることが難しい点です。
また古文では「つ、ぬ、たり、り」のような完了形がありましたが、現代の日本語にはないという要因で理解が難しいところがあります。また、『現在完了』の形や訳し方はわかっていても「過去の文との区別がよくわからない」「なぜ完了形でなければいけないのか」というところが理解できていないことに問題があります。
今回の授業では現在完了の「完了」と「過去」をきちんと区別をして、どちらの表現をどういった状況の時に使うべきかというところまで触れていきます。また、時間軸上に「基準点」という新しい概念を設定することで、『現在完了』から未来完了、過去完了まで一度に扱うことができます。
通常の授業では『現在完了』は時間をかけて「継続」⇒「完了」⇒「経験」という具合に授業を進めがちですが、文法項目の指導においては一つ一つを順番に確実に進めるのではなく、まずは最初におおまかな全体像をつかませ、「これはできるぞ!」というような感覚を与えることが効果的です。生徒の中に 「おもしろいぞ!わかるぞ!」 という感覚が芽生えることで、さらに深く掘り下げて授業を展開することが可能になります。
■はじめに
教えづらい、生徒の定着が困難とされている文法項目の指導法に特化した講義が「文法指導苦手克服シリーズ」としてスタート!
関係代名詞は中学校3年生から高校1年生の2年間をかけて少しずつ指導するというのが一般的です。
重要な文法項目である上に、概念としてはとても複雑なため、時間をかけてゆっくり教えたい…。しかし今回の授業は、そういった概念から思い切って離れて、関係代名詞のすべての格―【who】, 【which】, 【whose】, 【whom】 について一度に教えてしまおうという試みです。
関係代名詞を理解する上で不可欠なのは、日本語の助詞の理解です。まず、日本語の助詞の機能をできるだけ文法用語を避けて生徒に理解させ、関係代名詞についての説明をする前に、関係代名詞を含んだ文の意味を前から後ろへという自然な語順で読み取る訓練をします。この段階では生徒は関係代名詞を全く理解していませんが、英文の意味を確実に捉えることができる点にご注目ください。
このステップの後に、初めて関係代名詞の働きを導入しますが、どのような関係代名詞がどのような場合に用いられるのかを生徒が自ら発見していけるように指導します。英文を後ろから前に訳すとか、日本語の文を英語に直すという一般的な作業は、最終段階で軽く触れます。関係代名詞の全貌のイメージをまず生徒につかませるというマクロ的な指導法です。この後に繰り返し練習を行うことで、関係代名詞のより確実な定着が図れることでしょう。
教えづらい、生徒の定着が困難とされている文法項目の指導法に特化した講義が「文法指導苦手克服シリーズ」としてスタート!
関係代名詞は中学校3年生から高校1年生の2年間をかけて少しずつ指導するというのが一般的です。
重要な文法項目である上に、概念としてはとても複雑なため、時間をかけてゆっくり教えたい…。しかし今回の授業は、そういった概念から思い切って離れて、関係代名詞のすべての格―【who】, 【which】, 【whose】, 【whom】 について一度に教えてしまおうという試みです。
関係代名詞を理解する上で不可欠なのは、日本語の助詞の理解です。まず、日本語の助詞の機能をできるだけ文法用語を避けて生徒に理解させ、関係代名詞についての説明をする前に、関係代名詞を含んだ文の意味を前から後ろへという自然な語順で読み取る訓練をします。この段階では生徒は関係代名詞を全く理解していませんが、英文の意味を確実に捉えることができる点にご注目ください。
このステップの後に、初めて関係代名詞の働きを導入しますが、どのような関係代名詞がどのような場合に用いられるのかを生徒が自ら発見していけるように指導します。英文を後ろから前に訳すとか、日本語の文を英語に直すという一般的な作業は、最終段階で軽く触れます。関係代名詞の全貌のイメージをまず生徒につかませるというマクロ的な指導法です。この後に繰り返し練習を行うことで、関係代名詞のより確実な定着が図れることでしょう。
文法を英語で教えるにはどうしたら良いか…?
本作は、「受動態」をテーマに、同じ内容を英語で授業した場合と日本語でした場合の2パターンを収録しました。
英語で文法を扱うときのポイントや視点の持ち方をご紹介します。
例えば、主語+be動詞+過去分詞+byというようなことは概ね理解できたところで、なぜbyがあるのか、とかなぜbe動詞が必要なのかという、生徒にとってはやっかいだと感じる部分を英語で説明することによって、生徒が文法に対してそうだったのか!という発見をさせることが狙いとなっています。
日本語で指導するほうが効果的だと思っている方の考えをすっかり変える授業展開にもご注目ください。
★前置詞の理解は日本語の助詞との類似性と意味領域の差に気がつくこと
★日本語の助詞との違いを楽しみながら前置詞のイメージを捉える授業
前置詞の指導のコツは 「どうやってイメージを広げさせるか」 に尽きます。
イメージを図やビジュアル、言葉などで表現する方法がありますが、今回は漢字1文字で表わしています。漢字にこだわる必要はありませんが、何か方針を決めて新しい前置詞に触れるたびにイメージを示す習慣が大事になってきます。そして、繰り返しリマインドすることで前置詞が定着しますので、ぜひ内田先生のアイディアを前置詞指導にご活用ください!
なぜ前置詞が難しいと感じるのか、体験的に示しながら、どういった点に気をつけて、どこを意識しながら勉強するのかを提示した授業を展開しています。
悩みの種、5文型の指導をこれで克服!
文法の授業の中でも高校1年生のはじめに出て来ることが多い「5文型の指導」というのは、なかなか難しいと言われています。5文型の指導で一番意識しなければならないことは、「なぜ、5文型を指導する必要があるのか」ということです。
一般的な5文型の指導では、「次の文型が、第1?第5のどの文型にあたるのか。あるいは、SVOOまたはSVOCに当たる単語はどれか。」といった内容のものが多いです。しかし、この方法では、生徒には文型を理解するメリットが見えません。
今回の授業では、なぜ文型を理解することが重要なのか。文型を理解することでどのようなメリットがあるのかを体感できる活動を提示しながら指導を進めています。日本人だからこそ5文型を勉強する必要があるのだと納得させ、5文型が解ることで、積極的な英文理解(=攻めの5文型)が可能になることを示しています。
今までは英文を理解する場合、単語を日本語に置き換え、その訳語を並び替えて文全体の和訳を作っていくという受け身的な英文読解をしてきましたが、5文型を理解することにより、自ら情報を探しながら英文を理解していくことが可能になります。また、5文型の理解は、アウトプットにも効果を与えます。英文を組み立てる際に、次にどういう情報が必要かがはっきりわかるようになるからです。
文型の指導で最初に必要なのは、まず、「直接目的語」と「間接目的語」の関係ですが、ここでは矢印を使って表しています。そして次に大切な補語と目的語の関係は=で示しています。この感覚を繰り返し感じられるように指導している点にご注目ください。変則的なものを後に足していくことによって生徒の負担は軽減され、学ぶ意義を感じながら5文型に慣れ親しんでいくことができます。
■授業・解説/内田 浩樹(国際教養大学大学院 英語教育実践領域 教授)
■協力/英語教育・達人セミナー
■授業クラス/札幌日本大学中学校3年生
「仮定法」は、高校生が最もつまずきやすい文法項目の一つです。
Whenを用いた文が理解できていれば、文構造自体は同じなのでそれほど難しくはないはずですが、実際に指導してみますと、仮定法でつまずく生徒が多いのが現実です。この原因を探った結果、仮定法が難しいと生徒が感じるのは、if節ではなく、主節の助動詞の使い方にあることがわかりました。まず、どの助動詞を使うべきか、また、どうして過去形でなくてはならないのか、そのあたりの理解が不十分なために、仮定法全体がわからなくなってしまうようです。
助動詞の過去形が、実際に過去の状態や動作を表すことはほとんどありません。過去形であっても、たいていは現在のことを表していることに着目しました。
I would say so.という文が、「私はそう言うつもりだった」という意味になることはありません。何らかの条件のもとで、「私はそう言う」という、現在のことを表しています。つまり助動詞の過去形そのものに、何かを仮定する意味が含まれていることを最初に理解することが、仮定法全体を把握するための近道です。I would say so.という例では、例えば「私が君だったら」 とか、「私がその状況にいるとしたら」というような隠れた仮定の意味を感じることが大切です。
この作品では、if節に触れる前に、助動詞の過去形を用いた文について、隠れた「もし」の意味を感じることから導入する方法で仮定法の理解を促します。仮定法には、ifを用いたもの以外にも様々な表現がありますが、基本的な仮定法の位置づけを理解させることを第一義とした授業展開にしました。
『現在完了』は、中学校または高校でも最もつまずきやすい文法項目の一つです。
文法でみると『have/has+過去分詞』という、とてもシンプルな形ですが、一番の問題点は「経験」「継続」「完了」と3つの意味合いがあって、それらを使い分けることが難しい点です。
また古文では「つ、ぬ、たり、り」のような完了形がありましたが、現代の日本語にはないという要因で理解が難しいところがあります。また、『現在完了』の形や訳し方はわかっていても「過去の文との区別がよくわからない」「なぜ完了形でなければいけないのか」というところが理解できていないことに問題があります。
今回の授業では現在完了の「完了」と「過去」をきちんと区別をして、どちらの表現をどういった状況の時に使うべきかというところまで触れていきます。また、時間軸上に「基準点」という新しい概念を設定することで、『現在完了』から未来完了、過去完了まで一度に扱うことができます。
通常の授業では『現在完了』は時間をかけて「継続」⇒「完了」⇒「経験」という具合に授業を進めがちですが、文法項目の指導においては一つ一つを順番に確実に進めるのではなく、まずは最初におおまかな全体像をつかませ、「これはできるぞ!」というような感覚を与えることが効果的です。生徒の中に 「おもしろいぞ!わかるぞ!」 という感覚が芽生えることで、さらに深く掘り下げて授業を展開することが可能になります。
■はじめに