【2連覇を支えたドリル】
ところ狭しと行われる練習、短い練習時間……全中で2連覇という偉業を達成した豊野中学校も、他の公立中学校と環境面で大きな差はありません。それでも重厚なパッシングオフェンスができる理由は、田中監督が指導する「タイミングドリル」にありました。
タイミングドリルは、スクリーンやカッティングを使いながら、シンプルな攻撃を積み重ね、一貫した流れの中で得点を奪うことを狙います。シンプルではありますが、怒涛の勢いで攻撃が連続するので、その破壊力は抜群です。動きが理解しやすいのでどんなレベルのチームに落とし込みやすく、豊野中学校が毎日行っているとだけあってその効果も確かです。
【ひとつ上を目指すには】ただし、このドリルをただの「多段階のセットオフェンス」で終わらせないのが豊野の強さの秘訣です。田中監督はドリルで動きづくりをするときから「Defを想定」して行うことを徹底させます。そのように行うことで、型にはまりすぎず、相手の隙を見つけてゴールを狙っていく習慣をつけさせるのです。そこまで徹底させることで、このドリルが「Defが対応できない」厚みのある攻撃へと進化します。
このドリルを身につけることで、チームのレベルにかかわらず、着実に得点力をつけることができます。全中2連覇の指導力をぜひご覧ください。
■指導・解説:田中 英夫(春日部市立豊野中学校バスケットボール部監督)
■実技協力:豊野中学校女子バスケットボール部