学校におけるPHR時代の健康診断・健康管理~本人・家族主体のデジタルヘルスケアの実現に向けて~
PHR(パーソナルヘルスレコード)をご存知ですか? メディアで耳にされたことのある方も多いかと思います。Personal Health Recordの略で、健康診断の結果や服薬の記録、予防接種歴やバイタルデータ等、個人の健康に関するさまざまな情報を電子記録として蓄積し、生涯にわたり一元的に管理し活用するというものです。
日本は学校心臓検診をはじめ、健康診断が充実している上に手帳文化のある国で、これまで出産の際の母子健康手帳にはじまり、予防接種、各世代の健康診断、お薬手帳、介護にいたるまで、さまざまな健康に関わるデータが、それぞれ記録されてきました。加えて、ICTの発展により日々の活動記録や体重、血圧、体温等々、いわゆるライフログと呼ばれる日常的な健康に関わるデータも記録・収集できるようになっています。PHRによりこれらの情報が一元化されれば、健康管理、予防医療に大変役立つばかりでなく、救急対応、災害時にも非常に有効です。
2019年度より厚生労働省で、「国民の健康づくりに向けたPHRの推進に関する検討会」が実施され、また本年度(令和4年)、文部科学省でも「学校健康診断情報のPHRへの活用に関する検討会」が開催され、2024年度中には全国の学校で対応するように現在進められています。
ICTを活用したPHRサービスはデータの記録や保存・管理を便利におこなうことができる一方、学校健診では、データの入力、管理方法などさまざまな課題点もあります。
そこで今回は、京都大学大学院医学研究科 予防医療学分野教授であり、一般社団法人PHR普及推進協議会 代表理事でもある 石見 拓(いわみ たく)先生に、PHRについての正しい知識と今後PHRにより広がる可能性、問題点などについてご講義いただきます。
学校健診にかかわる養護教諭、養護施設、発達支援従事者の方々には是非、事前に知っておいていただきたい内容となっております。正しい情報と知識があれば、正しく対処することができます。これからのデジタルヘルスケアに向けた新しい取り組みについて学んでいきましょう。
■講師:石見 拓(京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 予防医療学分野 教授)